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2022/01/10 09:59



いつの間にか草刈りの音が消え
森の広場に無音の時が流れています
道を下っていく先で
人が軽トラックに道具を積んでいるところでした
「上にカトリヤンマがいました」
と声をかけます
「ああ、まだいますね」
その人は作業服についた草を払いながら
「あっちにセイタカアワダチソウがあって、そこは残していますよ」
全部は刈っていないと言っているのです
「セイタカアワダチソウには虫がたくさんきますもんね」
その人は頷き
「草も根本から少し上までを残してね。そうすれば虫も冬を越せます」
虫を探しに森に入った私と
森を守るために奉仕をする人は
互いに名乗りあったわけでもないのに
自然に生き物の話をしています
「ビオトープってわかりますか?」
「最近よく耳にします」
「人が作った生活空間ともともとあった生物の生態系、その共生空間を創出する、といった意味です」
「ああ、それで『共生の森』と書いてあるんですね」
さっき見た看板を思い出して私は言いました
「そう、ここはもとからの広葉樹がメインですが、少し奥にクヌギやコナラを植えた森がありますよ」
その人は軽トラックのドアに手をかけ
「行きますか?」
と尋ねてきました
「お願いします」と
私は助手席に乗り込んだのでした



森の入り口にいたヒメクダマキモドキ

キリギリス科の昆虫です


森の広場にいたカトリヤンマ

低い位置をホバリングしながら飛び回っていました


クヌギの森を抜けて登った尾根道


ほてった体に尾根を走る風が心地よく当たります

脱ぎ置いたジージャンに

アカタテハが止まってくれました