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2022/01/18 12:15


新しい年が始まり、早くも1月半ば。

さすがにお正月気分はもうありませんね。


ところでみなさんは、どんな年末年始を過ごされましたか?

私は「検印づくり」という大事な仕事に時間を費やした年末でした。


検印とは、書籍の奥付に押されている著作者の印。


現在の出版物ではまず見かけることがなくなった慣習ですが、

古書をめくると時折、

パラフィン紙で覆われた印影を見つけることができますね。


「モカに始まり」の著者・故森光宗男さんは、

昔ながらの美習慣を大切にする人でしたから、

ご自分の著書に検印を貼りたいというご希望は、

出版計画の初めからお持ちでした。


なので、「モカに始まり」初版本(写真下)にも、

「モカに始まり〜産地紀行編」

「モカに始まり〜焙煎・抽出・美美編」にも、

奥付には手作りの検印が貼ってあります。



紙は、佐賀県は七山に工房を構える「紙漉思考室」の和紙(写真左)。

組版は、活版印刷に造詣が深い

ブルームーンデザイン事務所の中川さんにお願いし、

名刺サイズの小さな活版印刷機(写真右)を仕立てていただきました。




まず、活版にインクを塗り、和紙を当ててギュッと押します。

この押す力の塩梅が、コツをつかむまではなかなか難しいのですが、

今回は寒い冬という気象条件も絡んで、

インクを油で緩めるその分量も試行錯誤です。


最初は多量のインクで文字が潰れたり、

力が足りずにかすれたり。


ぺったん、ぺったんとようやくリズムが出始めた頃には、

目標の200枚の印刷が終わっていました。


インクが乾いたら朱で「森光」の落款を押して、一段落。

その後、一枚一枚にパラフィン紙をのり付けして

(インクが移らないためのカバー)、検印の完成です。


書籍の注文をいただく度に、

この検印を奥付に貼って発送しています。

しかし、この検印を貼るはずの

「モカに始まり〜産地紀行編」が、完売してしまいました。


お求めいただいたみなさま、

ありがとうございました!


森光さんの珈琲愛が少しずつ広まっていると思うと、

版元としては嬉しい限りです。


今後、再版するのか電子書籍化するのか、検討中です。


在庫は、熊本市内の長崎書店さんか、

福岡市内のナツメ書店さんに数冊ある程度で、

私の手元に残るのは、表紙に小さな折れの入った傷本のみ。


この傷本をセール価格でご案内するかどうかも含め、

近日中には対応の決定をしなければ・・・

などと考えているうちに、年が明け、

今日に至るという話です。


こんな調子で今年も慌ただしく過ぎていきそうですが、

どうぞよろしくお願いいたします。