2022/02/24 17:46
私たちがぞんざいに扱う命は
食われる命も食う命も
一つ一つが必死で生きており
一つ一つが儚く消えていく
まだ数えられるくらいの
シリアゲアリの一種と思われるアリは
成虫になろうとするセミの
殻から露出したやわらかい背に這い上り
強靭な顎を使って肉を食いちぎっていきます
その数は見る間に増え
時々ブルっと震えて殻から抜け出そうともがく生きた体を
瞬く間に黒く覆い尽くしてしまいました
そしてその少し上方では
もう一つの命が羽化を始めていたのです
すでに足元には不穏な気配が集まり始めています
急げ
早く
(後編へつづく)