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2022/03/09 13:31


2月27日
湖畔の林で日暮れを待っていました
できればこの冬が終わるまでに
フユシャクのメスの姿が見たい
それには彼らの活動が活発になる夜に
彼らの活動しそうな場所にいることが
より目撃の確立を高めることになると考えたのです

対岸の住宅の明かりが輝きを強め
樹木の間の闇が深くなっていきます
梢の向こうに星が瞬き
耳を澄ますと
植物の呼吸音が聞こえてきそうです



でも枯葉を踏む音以外
何者かが蠢く気配はまるでありません
足元から小さな蛾が飛び立ち
懐中電灯の灯りの中を横切りました
しかし姿を追う百均電灯の光芒は瞬く間に闇に呑まれ
見失った蛾は2度と見ることはできませんでした

見つけたのは蜘蛛でした
桜の樹皮から這い出したところでしたが
光を警戒してか身をすくめています
かわゆい
オニグモの一種のようです



それからはまた何者も見つけられず
とうとう地下鉄駅に出る橋のたもとに至りました
時間は午後9時
気持ちは駅に向かいつつ
並木の最後の一本を覗き込むと
目線のやや上の闇に蝶が浮かんでいました




タテハチョウ科のヒメアカタテハです
成虫で越冬中なのか
それとも羽化したての成虫なのか
キズのないきれいな翅をしています



珍しい蝶ではありません
そして目当てのフユシャクでもなかったのですが
私だけ
季節の変わり目に立ち会ったかのような
清々しい気分に包まれました